ホームページ「デデリエ・ネアンデルタール」にようこそ。

1993年8月23日、日本・シリア合同調査隊はシリアの首都ダマスカスから約四百キロ北にある、「デデリエ洞窟」で旧石器時代の化石人骨を発見した。洞窟は奥行きが60メートル、最大幅が40メートルにも及ぶ巨大なもので、これまでに報告されている洞窟遺跡のなかでも、最大規模のものであった。 この巨大な洞窟で発見されたのは、中期旧石器時代(約20-4万年前)に生存していたネアンデルタールの化石人骨で、推定年齢二歳の幼児であった。ネアンデルタールの骨は、これまでにも数多く発見されていますが、デデリエのそれのように、幼児の、しかもほとんどの部位からなる全身骨格で、さらには埋葬時の状態を良質にとどめたものは、およそ前例がなかった。世界中の専門研究者が注目したのも当然である。

このホームページは、今回、1989年から2001年までの発掘の成果と、発見されたネアンデルタール人骨の研究成果をまとめた報告書(Neanderthal Burials: Excavations of the Dederiyeh Cave, Afrin, Syria)が刊行されるのを記念して、研究の内容を広く世に問うためのものである。数万年という長い眠りから甦らされたネアンデルタールの子供はどのような姿かたちをしていたのか、どのように歩いていたか、どのように埋葬されたのか、という素朴な問いかけから、ネアンデルタール人は絶滅したのか、もしそうだとすれば現代人の起源はどこにあるのか、という人類学の根本問題まで、ホームページで提起されている問題は多岐にわたっている。「人類」という存在の不可思議さ、これに一歩でも近づき得るなら、本ホームページの目的は果たされたと言える。


デデリエ洞窟の場所
東アフリカを南北に走る大地溝帯と西アジアを南北に走る死海地溝帯はどちらも初期人類遺跡の宝庫である。大地溝帯の遺跡は主として人類の起源とその後の進化を、死海地溝はアフリカ出身の初期人類がユーラシア大陸に移り住むとき、最初に足を踏み入れた場所であった。そして現代人の起源論争のなかで脚光を浴びている遺跡の宝庫である。デデリエ洞窟はその死海地溝帯の北端にある(from Akazawa and Muhesen, 2003b: Fig. Con-1)。
map
画面をクリックすると画像が拡大します


「デデリエ・ネアンデルタール」は赤澤威によって制作され、保守されます。

E-mail: akazawa.takeru@kochi-tech.ac.jp

本ホームページの制作日:平成15年4月1日

Copyright (C)2002, 2007 赤澤威
(著作権の内容をお読みください)

prinext